第 １０ 回 日展 「授賞作品」

日本画・洋画・彫刻・工芸美術・書　
「日展特選授賞作品」
公益社団法人 日展

第 １０ 回 日展
日展特選賞

第１０回 日展「特選賞の授賞作品」'2023
第1科（日本画）、第2科（洋画）、第3科（彫刻）、第4科（工芸美術）、第5科（書） の各科から選抜2名の作品を掲載しています。
・画像をクリックすると大きな画像でご覧いただけます。

第１科（日本画）　特選受賞者 10 名（内 2 名作品掲載）

・池田睦月・岡本徳子・小木曽 登・川島めぐみ・久保嶺爾・鈴木一正・竹内昌二・福田季生・三上友子・三谷佳典

日展特選賞　日本画　《 いのち赫く 》
池田 睦月

　黒地に赤が観る者に鮮烈な印象を残す。
背景を省略し、
鶏頭を写実的に描写する点に琳派以来の日本画の伝統を感じる。
花の生命感と枯れかけの葉の持つ死のイメージは、
そのまま赤と黒の対比にもつながる。

日展特選賞　日本画　《 天体観測 》
福田 季生

　 ノスタルジックな作風の中に、
しっかりと今の時代が感じ取れる、若々しい作品である。
確かな描写力と画面を印象付ける張りのある色彩には
、観るものをハッとさせる艶やかさがある。

第2科（洋画）　特選受賞者 10 名（内 2 名作品掲載）

・内海洋江・大木基彰・越谷なつみ・鷺 悦太郎・橋浦尚美・平野克己・福本弥生・松井茂樹・宮下陽子・吉田 定

日展特選賞　洋画　《 ショート ブレイク 》
鷺 悦太郎

　前回まで風景の中に女性を描くことが多かったが、
今回は背景を壁だけの静謐な空間にしたことが成功している。
確かな描写力によって描かれた画面からは
しっかりとした存在感や穏やかな時間の流れまでも感じられる。

日展特選賞　洋画　《 ロマネスク追憶 》
松井 茂樹

　二人の人物と異国の風景で構成された作品である。
作家独自の色合いが形と響き合っている。
ルネサンス期の絵画を研究し、現代と融合させた魅力的な作品である。

第3科（彫刻）　特選受賞者 8 名（内 2 名作品掲載）

・石母田ななみ・加藤真浩・窪 信一朗・桑原秀栄・髙橋 忠・田原迫 華・最上 健・諸井謙司

・画像をクリックすると大きな画像でご覧いただけます。

日展特選賞　彫刻　《 のどけからましⅡ 》
石母田 ななみ

　三人の女性が造り出す空間が心地良い。
女性特有のやわらかい曲面で作られた塊の繋がりと、
顔の表情から、温かく豊かな雰囲気が伝わってくる。
色使いも含め、個性ある表現が高く評価された作品である。

日展特選賞　彫刻　《 彩 雲 》
髙橋 忠

　大きく手を挙げた姿はのびやかで、
爽やかな潮風の香りを感じさせる。
長年の技量の蓄積と豊かな経験が伴った堅実なモデリングである。
作者のやさしい想いが融合した秀作である。

日展特選賞　工芸美術 [漆]　《 円 舞 》
岩渕 浩之

　　木漏れ日の中を舞うセキレイのイメージが、
金の輪で美しく表現された秀作である。
背景を彩る夜光貝の螺鈿、鳥を表現する卵殻、
金蒔絵など多くの漆芸技法が巧みに駆使されており、
漆の美しさが堪能できる。

日展特選賞　工芸美術 [陶]　《 宙 》
加藤 丈尋

　作者独特の技法の面相筆で、一本一本銀彩を施し、
濃淡で幻想的効果を出している。
上部にウェーブをつけ横面に段をつくり、
装飾と形体で作品に躍動感を醸し出している。

日展特選賞　書　《 五 月 》
大崎 雨萩

　古典が無いといわれる調和体分野であるが、
この作品は王鐸の書を基盤に、かなを上手に調和させている。
大らかに雄然と書き進め、
大河の流れを感じさせる作品であり残された白の美しさにより清爽な空気が漂う。

日展特選賞　書　《 春の夕暮れ 》
豊原 睦子

　『関戸本古今集』等の古筆を基礎に、
散らし書きの要素を巧みに取り入れた大字仮名作品。
文字の粗密、墨色の変化、強く多様な線質が相まって、
立体感のある美しい景色を創り出している。
上部の余白も際立って印象的である。

・作品受賞理由の批評は日展評です。
(陳列総点数 3,032点)

ご意見ご感想はyashio@mui.biglobe.ne.jp

Copyright © 2002-2023 Yashio.ALL Rights Reserved.